増える高齢者のうつ病


悲しい、寂しい、むなしい思いが…
−頭が重いなど体の不調も−


 お年寄りのうつ病が増えている。若い人のケースに比べ、自殺の危険性が高い、認知症(痴ほう症)と間違われやすいといった問題がある。本人はもちろん、家族の人も注意して、早期発見、早期治療を心掛けたい。

● いらいらしやすい

 うつ病に早く気付くには、病態を理解するのが第一だが、東京都立保健科学大学の繁田雅弘教授(精神医学)は症状について、(1)感情(2)思考(3)意欲−の3点から見ると分かりやすいと話す。
 「まず感情面で、悲しい、寂しい、むなしいといった抑うつ気分が出てきます。思考面では、判断力が低下するとともに、考える内容も悲観的で悪い方向に考えるようになります。意欲も低下し、やる気がなくなってきます。これらが一般的なうつ病の症状ですが、高齢者の特徴は、心の病気としての認識が薄く、頭が重いなど体の不調として訴えることが多いのです」
 また、高齢者では判断力の低下はあまり見られない半面、いらいらしやすいという。
 「いらいら感が高じると、自殺の危険性が出てきます。一方、集中力が低下すると記憶も衰えるので、認知症と間違われやすいのです。それを年のせいにしていると、本当の認知症になる危険性があります」

● 頑固な人は要注意

 こうした症状に気付いたときは精神科を受診すべきだが、発症には個人の性格が大きく影響する。
 「頑固、きまじめ、責任感が強い、あるいは気分転換がうまくできないといったタイプの人に、ストレスが加わると発症しやすいのです。こうした性格の人は、特に注意が必要です」
 治療の基本は、抗うつ薬による薬物療法と休養だが、最近良い抗うつ薬が登場した。
 「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)という抗うつ薬ですが、従来の薬に比べて副作用が少なく、効き目が強いのです。ただし、薬によって症状が改善されたからといってやめると、また悪くなるので、2、3カ月は継続して服用すべきです」
 治療のもう一つの柱である休養も同様。病気を受け入れて、精神的にゆっくりと休むとよい。それには、家族の協力も必要だ。