(3/10)60年たってもなお残る原爆の影響


 広島と長崎に原爆が投下されてからすでに60年が経過したが、最新の調査によると、被爆者には依然として甲状腺結節の発症がみられ、その発症率は被爆した放射線量に比例しているという。また、原爆投下時の被爆年齢が低いほど結節を発症しやすいことも明らかになった。この結果は、米国医師会誌「JAMA」3月1日号に掲載された。

 甲状腺結節には良性のものと悪性のものとがあり、いずれも放射線曝露が原因の一つであることがわかっている。今回の報告を行なった長崎の放射線影響研究所(RERF)臨床研究部の今泉美彩博士によると、被爆年齢が若いほど放射線の影響も大きく、幼少期に被爆した人たちが現在癌(がん)年齢に達していることからも、依然として注意深い観察が必要だという。

 調査は被爆者約4,100人(女性2,739人、男性1,352人、平均年齢70歳)を対象として、2000年3月から2003年2月に実施された。その結果、全体の約45%に結節をはじめとする何らかの甲状腺疾患がみられた。男女別では女性51%、男性31%と女性に多い傾向がみられた。超音波検査で見つかった悪性腫瘍の37%、良性結節の31%、嚢胞の25%が原爆による放射線曝露に起因していると推定される。グレーヴズ病(甲状腺機曝エ進症の一型で、通常、眼球突出を伴う)のような自己免疫性疾患と放射線曝露との因果関係は認められなかった。

 曝露から長期間が過ぎても放射線の影響が続くというのは、原爆による被爆者ばかりでなく、特に1940〜1950年代に放射線療法を受けた人にとっても重大な情報であり、該当する人は医師にその点を告げ、経過観察を行なうようにと専門家は助言している。ただし、このような医療処置の場合のリスクは低く、X線やCTスキャンのような一般的な曝露ではリスクはさらにずっと低いとのこと。